『「建築情報学会」キックオフ公開企画会議 ver. 0.1』メモ
「建築情報学会」キックオフ公開企画会議 ver. 0.1
目的:学会の骨子を深めていくために公開会議。
「建築情報学」とは何か?を突き詰めていく
各者,議論のたたき台になるようにトピックをプレゼンテーション
■角田大輔氏(日建設計デジタルデザインラボ室長代理)
BIM
DIGITAL DESIGN
COMPUTATIONAL DESIGN
↓
INFORMATION(←これをどう扱うか) × ARCHITECTURE
ケヴィン・ケリー「技術は進み続ける」
高密度・高解像度が進んでいく(シムシティを見るとわかる1989→2013)
フランク・O・ゲーリー→情報の視点から建築を見る→ゲーリー・テクノロジーズを生み出した.
ケヴィン・ケリー『インターネットの次にくるもの』12のキーワード
「名詞」は「動詞」になり,物事はどんどん移り変わるようになる.
・情報をどう扱うか
GET CONNECT繋げていく
─DECK.GL Uberのオープンソースライブラリー(githubに公開)
─Sidewalk Lab 既にあるデータを利用して都市に入り込んでいく
─都市の中のアクティビティを取得して,どうよくしていくかが外部の視点から試みられている.
─ゲーリーインスティテュート センサーでバラバラに取得しているものを整理する(都市のプロトコルごとに)
建物以外の情報をどう取り込んでいくか?
GENERAL CONTROL INTEGRATE
ソフトウェアの結果に踊らされないようにする→「仕組み」や「ルール」の本質を見抜くことができるようにする
↓
プロセスの設計が重要になってくる(つまり論理性が必要になる).その時に「プログラミング」ではなく「プログラミング的思考」が重要になってくる(プログラムはひとつでもミスがあると動かないため,そうならないように順序立って組み上げていく論理的思考のあり方).
STOCK UTILIZE
現状では,BIMのルールが定まっていない(プロジェクトごとのオリジナルなルールになってしまっている).
建築情報をどのような仕組みで蓄えていくかを考えなければならない→それがゆくゆくはAIや機械学習に接続されていく.
※現状では使途のないガベージデータとなってしまっている.
AI(Augmented Intelligence)
拡張知能としてのAI.人間をアシストしてくれるようなものが進化してくる.(弱いAI?)
PROTCOL
分野横断やボーダーレスな思考がベースとなる→MITメディアラボのような
その時にテクノロジーがプロトコル(核)となる.
拡張される職能領域
世界に広がるネットワーク
■石澤宰(株式会社竹中工務店 東京本店設計部 課長)
#名センシュ,名カントクにあらず
プレイヤー(情報をつくる人)とマネージャー(マネジメント)は違う.両者は同じものを見ていても違うところを見ている.
そのギャップをどう考えるか.
実際のプロジェクトファイルサイズ:最初は2.5GBだったものが,14.2GBにもなった.すると全然動かなくなる!→つまりデータは集めたから言い訳でもない
この後,1日かけて一斉掃除を行ったら,40%も削減できた.
↑
こうした視点は実務をやっていると気づきにくい.
#手と頭に収まる情報(情報量)
実際の現場ではその場で判断するために手元に判断材料として持っておく情報が重要.
また,鉄骨屋と屋根屋では見ているものが異なる→情報をみる次元が異なっている→情報の次元を落とす必要がある.
同じく工程表も全部は覚えられない→情報の次元を落とす必要がある
※人間は記号の方が覚えやすい
情報リテラシーとは何か(オーストラリアとニュージーランド)
①需要の把握,枠組み
②効率の良い情報収集
③クロスチェック
④情報管理,マネジメント
⑤活用と価値創出
⑥副次的影響への配慮
#戦略的見切り発車
現状では,職能に期待されることと実際に行う業務のズレが発生している.このズレをどう解消していくかはネックになるはず
・Respository─議論を広げていくことが重要だ.
■木内俊克(木内建築計画事務所、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻助教)
MISC.DATA(雑なデータ)
インデックスについて考えている
都市について統計をベースとした思考をする試行
判断の根拠としての「情報」
森ビルのGlobal Power City(http://www.mori-m-foundation.or.jp/ius/gpci/)
(刺激≒情報になる前の情報)→(≒感情(情動的情報))
行動の契機
→Ingress(ポータルはGoogleに申請されることによって生まれる→ある場所が突然として価値を持つこと,何が情報になるのかが分からない)
センシュアシティ「官能都市」→情報のインデックス化が困難なものをどう考えていくか.
補助線
・タイムベースドメディアの保存修復またはオーラルヒストリー
体験の伝達,トレース可能な形での保存修復
行間の保持とクローラビリティをいかに実現するか
・アーカイブ性
「チューニング,アーカイブ,レイアウト」(http://10plus1.jp/monthly/2016/05/issue-04.php)
Aという概念の参照構造による例示←→Googleの検索システム
深層学習による画像生成←→情報の基本単位としての素材
■池田靖史(慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、IKDS代表)
建築情報学まで
デジタルデザインの変遷
パラメトリック→ジェネレイティヴ→コンピューテショナル→アルゴリズミック
2009 ロボットアームとデジタルファブリケーション
同じ3Dプリンタでもアルゴリズミックと普通の家(高効率化)の2つの道がある
2010 グラスホッパー─建築の役に立っているのか?
2011 これをできることがどういう意味を持つのかを考えた─例えば,木造のリサイクル生を高める,全て違う部品を使うサステナビリティ
2012 シミュレーション
2014 CLTパネルのエコハウス(実践)
2015 ↑オペレーションテスト
2016 仕組みをつくるようなデザイン─デジタル積み木
データフロー
→デザイン情報ネットワークの共有化
→アルゴリズム
→センシングによる人工物の知能化
→物質のデジタル化
モノと人間の関係─モノと情報
・体験と記憶 『トランセンデンス』
・建築と建築じゃないものの組み合わせ
・「建築」の定義や存在価値を見直す
・「情報学」を介した領域連携を促進する
・「学問」としての体系化により人材育成を活性化する
建築学に収まらない議論をする
■松村秀一(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授、一般社団法HEAD研究会副理事長)
「情報」という名前はビッグキーワードすぎるのではないか?
情報関連技術が建築を変えるのか?
建築のポテンシャルが全然違う広がりを持つのか?
■豊田啓介(noizパートナー、gluonパートナー)
現在建築業界ではデジタル技術は突出した個人しか習得していない状況になっている
そもそも「設計」という行為自体がルネサンス時にアルベルティが始めた,モノと情報を分離するための手法→今それを見直すべきでは?
←我々は3次元自体を扱えるようになった
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こっから自由討論
ゴールとして,底上げ(教養として学問的形を作り上げる)とか
■BIMは現状では手戻りをなくすためのものになっていて,そもそもの建築にまつわるポリティカルな構造を解体するに至っていない→建築がそもそも変わっていくという話があると面白い.例えば,東大のパヴィリオンは施工しながらインタラクティブに決まっていく
→なんかよく分からないけどつくる,ということ
■現状,テクノロジーに対してビジョン・ゴールを話し合う場が全くないのがやばい
■建築の構造的な問題として,他の業界に比べて稼げていないということがある.その部分,作っているものを評価してもらうための指標を提示できていないのが問題.それは建築を設計する時にかかるコストが払ってもらえない,ということ.その部分にアプローチできるのでは?
■建築がつくっているフレームワークから脱線する必要がある
■つくって試す,が手っ取り早くできるのがテクノロジーの強み
■分野を跨いだコミュニケーションの媒介項となるのがテクノロジーの強み
→その時に建築を核に
■人間の社会の方が技術にどうついていくか,を考えるべき時代・社会になってきている
■他の業界の人が建築にアプローチするための基盤がないため,技術の転用が起きない.それはやばい
■なぜあえて日本でやるのか?
→日本のもともとあった施工の技術力の高さとか,日本語で議論をすると議論が深まりやすい.また,海外の後追いじゃない方向を
■日本は企業によって成り立っているために新しいサービスが流通しない,だからこそ企業が新しい動きを起こさないと,ムーブメントにまでならない
■昭和の成功体験に縛られていて失敗ができない社会になっている.それをいかに崩していくかが重要になっていく.分からないけどやってみる,ができる社会
■建築的実験場がない.試したことがないことはやらなくなる.
■見切り発車は誰かがやらないと動かない
by foolproof-koji
| 2017-11-27 22:04
| 備忘録的